「人材づくり」コラム

本コラムは、「経営視点を持つ人材づくり」に関連する内容について記したものです。研修内容の紹介や研修時間内で解説しきれない関連テーマが中心です。

国際会計基準(IFRS)適用企業が増加。米国基準は減少

2018/04/26 21:57 に Naota ASAO が投稿   [ 2018/04/26 22:00 に更新しました ]

More Public companies adapting IFRS in Japan

国際会計基準 189社 ※ 適用予定を含む。1年前比27社増。
米国基準 13社
日本基準 3,376社
(3月末時点)

国際会計基準を適用する企業が増え、米国基準が減少している。例えば、IFRS導入を検討していると記事にある「トヨタ、ソニー」は米国基準適用企業。

以上、2018年4月14日付 日経新聞記事「国際会計基準 200社迫る IFRS トヨタ・ソニー導入検討」より。


国際会計基準を適用している企業のリストは日本取引所グループのサイトに掲載されています。


長期的な視野を持つために With Long Term Views

2018/04/26 21:55 に Naota ASAO が投稿   [ 2018/04/26 21:55 に更新しました ]

逆説の法則」(西成活裕・著)を読みました。  

長期的な視野を持つために、あえて目先の手間を惜しまずかけるべき、というのが著者の主張。

現代社会の諸問題は「長期的な視野の欠如」によるものが多く、その解決にこの「急がば回れ」的な「逆説」の考え方が役立つ、と。

逆説の法則は4つにまとめられているので、詳しくは本をご覧ください。


経営に直接かかわる分野、企業業績についても取り上げられています。
その一つとして提起されるのが、四半期ごとの開示をやめて、数年間をまとめて評価する長期会計を導入すること。

複数年度の通算会計は、公開されているデータを加工すればできるので、ぜひ開示を進めていただきたい(細かい精度の問題を無視すれば、の話)。

当初はあまり注目されないかもしれませんが、開示されれば発見もあるはず。読み方によっては ESG よりも頼りになるかもしれません。
 

ニトリHD の ROE

2018/04/08 21:26 に Naota ASAO が投稿   [ 2018/04/08 21:28 に更新しました ]

日経新聞の「新入社員のための財務講座(3)ROE」(2018/04/06付)で、ニトリホールディングスのROEの構成要素を3項の掛け算にした式が掲載されています。いわゆる「デュポン・システム」という考え方です。

ROE    =   売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
15.4 % =  11.226 %            × 1.102 回         × 1.244 倍

となっています。

まず ROE 15% はかなり高い。

次に、構成要素を見ると、後ろの2項、総資産回転率と財務レバレッジは、とくに高い水準ではない。とくに財務レバレッジは低め。

ちなみに、財務レバレッジは、自己資本比率が 33% のとき3倍になり、50% だと2倍。1.244 倍ということは、自己資本比率が 50%を超えているということ。

それにも関わらず ROE が高いのは、最初の項である売上高純利益率が高いから

小売業で 10 % を超える売上高当期純利益率というのは、かなり収益性が高い。もっとも、ニトリは製造小売であって、単純な小売でないからこそと言える。

フラットな組織、始まる。

2018/04/04 22:11 に Naota ASAO が投稿   [ 2018/04/20 0:30 に更新しました ]


Capex and Opex

2017/06/13 17:08 に Naota ASAO が投稿   [ 2017/06/13 17:28 に更新しました ]

どちらも英文の財務報告などを読むと出てくることがある言葉ですが、ふつうの辞書には載っていません。
CAPEX, OPEX のように大文字になっていることもあり、短縮表記であることがわかります。
ネットで検索するとすぐに出てきます。

CAPEX:  Capital Expenditures

「資本的支出」。この言葉は使わないことが多いですね。意味は「投資支出」です。「設備投資など」と考えればよいのですが、「設備」とは限りません。

* Expenditure(s) は「支出」、つまり支払った金額なので、費用の Expense(s) とは区別されます。


OPEX:  Operating Expenses

「営業費用」。企業会計の損益計算区分で言うと、「営業利益」の前に引く費用に当たります。

「販売費及び一般管理費」かと言うと、そうとは限りません。Operating Expenses には、
a)  「売上原価 Cost of sales, Cost of goods sold」を含む場合と
b)  「売上原価」を除いた営業活動区分の諸費用 Expenses を指す場合
あるようです。

b)  の場合、日本の会計基準では「販売費及び一般管理費」と一致します。
 営業利益 = 営業収益(売上高)-売上原価 -販売費及び一般管理費
a) の場合は、
 営業利益 = 営業収益(売上高)-営業費用
 Operating profit (income)   =  Revenue (Sales) - Operating Expenses
となります。英文の決算書ではこちらが多いように思います。

* OPEX には「運営費」という訳語もあり、プロジェクトなどで使われるものと思われます。

* Expense(s) は「費用」で、Expenditure(s) の「支出」とは異なります。支出額のうち、一部が費用計上されることもあります。

「多様性(ダイバーシティ)」に富んだ社会を築いていくことが、発展への原動力として不可欠

2016/05/22 17:16 に Naota ASAO が投稿   [ 2016/05/22 17:20 に更新しました ]


「政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)は20日、発達障害がある子供向けの教育の充実などを盛り込んだ第9次提言を安倍晋三首相に提出した。」
(日経新聞 2016/5/21付 記事より)

の「はじめに」より一部抜粋。(文字色変更は引用者)

従来の工業中心の時代から、情報・知識が成長を支える時代に入り、情報通信技術をはじめとする科学技術の発展や急速なグローバル化は、社会の在り方に劇的な変化をもたらしています。近い将来には、IoT(Internet of Things)1や人工知能の進化等により、現在人間が行っている様々な仕事が機械により代替されると予想されるなど、その変化はますます加速しています。

このような情報化時代においては、人間にとって、コンピュータや機械で置き換えることのできない志、創造性、感性等が一層重要になります。社会の在り方としても、一人一人が多様な個性や能力を発揮し、新たな価値を創造したり、互いの強みを生かし合い、人が人としてより幸せに生きることのできる「多様性(ダイバーシティ)」に富んだ社会を築いていくことが、発展への原動力として不可欠と考えられます。

価値を生むのは「資産」でなく「人」

2016/05/17 2:18 に Naota ASAO が投稿   [ 2016/05/17 2:21 に更新しました ]

先日参加した勉強会で、組織開発の実務経験豊富な講師が次のようにおっしゃっていた。

「会社の価値を生むのは機械ではない。人だ。」

だから、人を大切にしなくてはならない、経営環境の変化に対応する力をつける必要がある、といった話が続く。
まさにその通りだと思う。


ここで元の話から逸れるのだが、財務面から見ると、これはかなり奇妙なことになる。

ROA 総資産利益率 に代表される資本利益率の指標は、
「会社がその資産を活用して利益を生み出した」
と捉え、その利回りを表す。

ROA = 利益 ÷ 総資産(資産合計)  
※利益には経常利益や純利益などを用いる。

ところが、「人」は「資産」ではない。

「利益」の源泉となる「価値」を生み出しているのが「人」なのに、
ROA の計算分母に「人」は含まれない。

もちろん「人」は、利益を算出するときに、人件費などの形で引き算されるものの、
「活用効率」という観点はない。

したがって、利益(率)の高さを決める本当のキーが「人」であるのに、
ROA の計算式はそれを織り込んでいない、という事態になってしまう。
ROA は、ある意味で、タダ乗りをしているとも言えないだろうか?

※この記事内容は、応用的・発展的な検討の視点です。

キャッシュ・フローはウソをつかない!?

2015/09/09 22:55 に Naota ASAO が投稿   [ 2015/09/09 23:08 に更新しました ]

続けて、東芝の不正会計問題に関連した話題です。
バッシングする意図はありません。
いろいろと考えさせられ、学ぶべきことが多い事件だと思います。

今回は会計的な観点から。
過去に提出された「不適切な」有価証券報告書を訂正版と比較してみました。

当期純利益(非支配持分控除前)の差異の累計は、約2,100億円に上っています。

ところが、フリーキャッシュ・フローで見ると、23億円の差異しかありません。
※フリーキャッシュ・フローは、
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計

グラフで見ると歴然です。


フリーキャッシュ・フローの差異は小さすぎてグラフでは目立ちません(2012, 2013年度はゼロ)。
ちなみに、キャッシュの残高に訂正はありませんでした!

改めて、〈利益は操作できても〈キャッシュは操作しにくい、ことが確認できました。


注記:

グラフタイトルに記したように、当期純利益、フリーキャッシュ・フローの差異の累計額は、増加差異と減少差異があった場合に相殺しています。つまり、5年間を通算したときの訂正前と訂正後の差異です。

2013年度には、営業CFと投資CFの訂正差異が同額(約25億円)ずつあります。合算したフリーキャッシュ・フローでは相殺されて差異がなくなっています。

組織の体質 ~東芝の不正会計問題に思う

2015/09/09 22:27 に Naota ASAO が投稿   [ 2015/09/09 22:28 に更新しました ]

研修で会計分野を担当することが多い立場なので、東芝の不正会計問題は、
やはり衝撃的な事件です。

前に会計ルールがどのように悪用されたかを取り上げましたが、
より大きな問題は「組織の体質」です。 

まず、組織の体質に圧倒的な影響力があり、責任を負っているのはトップマネジメントです。
と同時に、構成員も一定の責任を負っていると言えます。

不正を事実上強要する指示があったらどうするか、について私は答える立場にはありませんが、
会社員時代と独立して働いている今とでは、明らかに違う感覚があります。

外の風を直接受けるかどうかの違いです。

会社勤めのころ、ビジネスに関する情報は会社というフィルターを通して、
極めて限定的な受け取り方をしていました。

対外的な責任も、目の前のお客さんに対しては負うけれども、それ以外は直接負いません。

分業しているから当たり前かもしれませんが、そのぶん外の世界全般に対する感度は鈍ります。
年中エアコンの効いた部屋の中にいるような感覚です。

やがて「会社の中」が世界のほとんどであるかのように錯覚してきます。
自分の周りにまず会社があって、その外側に世界があるような感覚です。
そうなると会社の論理を優先しがちになります。 

我田引水になりますが、会計や経営シミュレーションをきっかけにして、
事業の全体像を捉える経営的視点を養えば、
「社会全体の中に」会社や自分の仕事を位置づけられるようになります。

そういう目を持った構成員が大勢いる組織のほうが、自己修正する力が強い組織だと思います。 


*  *  *


最初に就職した大手小売業を退職する半年ほど前に、
創業者肝いりの
大規模な社員販売キャンペーンがあったことを思い出しました。

10万円近い商品を一人一点、半ば強制的に知人や家族親戚に売れというものです。
納得できなかったのですが、結局自分で一つ買って贈り物にしました。

退職した直接の理由ではありませんが、会社をいつでもやめる腹積もりができたのはその時でした。

工事進行基準を利用した利益の水増し

2015/06/18 16:55 に Naota ASAO が投稿   [ 2015/06/18 18:35 に更新しました ]

最近ニュースが続いた、電機大手T社の不適切会計問題。
工事進行基準という会計ルールに関連したものが多かったようです。

建設工事に適用されるイメージがありますが、
今回のように情報システム等の
開発プロジェクトにも適用されます。

工事進行基準は、工事の途中で進行に応じた売上を計上するルールですが、
それをどう利益の水増しに利用するのかは、わかりにくい部分があります。

T社で利益の水増しに使われたのは「見積総原価を実態より低く抑える」
という方法です。

日経新聞の記事によると、ある案件では、
コストダウンにより当初見積りよりも17億円抑制できるとしていたのに、
結果的にコストダウンできたのは1億円だったそうです。

これによってどのように利益が水増しされたのでしょうか?

こちらのスライド(slideshare)をご覧ください。

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