価値を生むのは「資産」でなく「人」
Post date: 2016/05/17 9:18:40
先日参加した勉強会で、組織開発の実務経験豊富な講師が次のようにおっしゃっていた。
「会社の価値を生むのは機械ではない。人だ。」
だから、人を大切にしなくてはならない、経営環境の変化に対応する力をつける必要がある、といった話が続く。
まさにその通りだと思う。
ここで元の話から逸れるのだが、財務面から見ると、これはかなり奇妙なことになる。
ROA 総資産利益率 に代表される資本利益率の指標は、
「会社がその資産を活用して利益を生み出した」
と捉え、その利回りを表す。
ROA = 利益 ÷ 総資産(資産合計)
※利益には経常利益や純利益などを用いる。
ところが、「人」は「資産」ではない。
「利益」の源泉となる「価値」を生み出しているのが「人」なのに、
ROA の計算分母に「人」は含まれない。
もちろん「人」は、利益を算出するときに、人件費などの形で引き算されるものの、
「活用効率」という観点はない。
したがって、利益(率)の高さを決める本当のキーが「人」であるのに、
ROA の計算式はそれを織り込んでいない、という事態になってしまう。
ROA は、ある意味で、タダ乗りをしているとも言えないだろうか?
※この記事内容は、応用的・発展的な検討の視点です。