純利益、当期純利益、当期利益
損益計算書の最後の行の「当期純利益」。(実は最後ではないのですが、それは後半で・・・)
「当期利益」と書かれていたり「純利益」と書かれていたりして、ちょっと混乱しませんか?
使い分けがあるのでしょうか?
「当期」=1年間
まず「当期」というのは、その1年間の決算期を指します。
四半期(3か月間)の損益計算書では、「四半期純利益」や「当期」なしの「純利益」になります。
「純」はあってもなくても同じ
また、国際会計基準(IFRS)で財務諸表を作成している会社の場合は、「当期純利益」の代わりに「当期利益」と表記されるケースが多いです。つまり、利益に関しては「純」の有無による違いはないのです。
国際会計基準の場合には、英文表記の日本語訳になっているので、このようなことが起きます。(会社によっては、日本語の会計用語に置き換えているものも見かけます。)
Net income = (Net) profit = (Net) earnings
「純利益」は英文の "Net income" に対応し、「(当期)利益」は、"Profit ( for the year )" に対応していることが多いようです。"Net profit" という表記も見たことがあります。ただ、”Net” なしの ”Income” を使った例は見たことがありません。"Earnings", "Net earnings" も同じ意味で使われています。
これらの使い分けは慣習でしかないと思われます(何かわかれば教えてください)。
「一株当たり」では Earnings
「一株当たりの純利益」は "Earnings Per Share" (EPS) と表記されるようです。計算に使われる純利益が "Net income" と書かれていても、です。
実は「当期純利益」は最後ではない!
ところで、最初に「損益計算書の最後の行に来る」と書きましたが、上場企業などの「連結」損益計算書では「当期純利益(または当期利益)」でおしまいではありません。「連結」はグループの決算であることを表します。
「当期純利益」はすべての株主にとっての利益なので、そのうち「親会社の株主の取り分」がいくらかが表記されます。これは「親会社株主に帰属する当期純利益」「親会社の所有者に帰属する当期利益」などと表記されます。
「帰属する」というとわかりにくいですが「取り分に当たる」という意味です。
次のように、帰属先が表形式で示されることもあります。
当期純利益の帰属
親会社の所有者 xx,xxx
非支配持分 xx,xxx
―――――――――――――――――――――
当期純利益 xx,xxx
ROE の計算には「親会社株主・・・」用いる
ROE(自己資本当期純利益率)の計算をするときには、「親会社株主に帰属する当期純利益」を用います(表記名称に多少の違いはあります)。
ROE の計算式を調べると、たいてい〔 当期純利益 ÷ 自己資本 〕のように書かれていますので、注意が必要です。分母の「自己資本」が「親会社株主の持分」に当たるので、分子も「親会社株主に帰属する当期純利益」を用います。