「非財務」の「財務」化
2021年1月25日の日経新聞朝刊一面の記事「脱炭素で企業選別 野村アセット、300社を評価」
野村アセットマネジメントは非財務情報だった企業の二酸化炭素(CO2)排出量をコストに換算し、財務情報に組み込んで投資判断に活用する。
「月内にも」とあることから、2021年1月から。
対象は「まず300社から始め、順次対象を広げる」とあります。
企業の二酸化炭素(CO2)排出量はトン単位で表示される「非財務情報」です。野村アセットマネジメント社の取り組みは、
「『カーボンプライシング(炭素価格)』の仕組みを活用して、排出量を金額に換算」するとあります。
これによって、自己資本やキャッシュフローなどの財務情報(金額)と比較、評価をするようです。
さらに、「企業価値への影響をより精緻に分析して適正株価も算出したい考え」とあることから、単なる金額換算、比較ではなく、将来の業績への影響や投資家からの評価と数値的に関連づけると考えられます。
「カーボンプライシング(炭素価格)」については、記事中の図表に「19年のEUの排出量取引価格を適用」とあり、市場価格を適用すると見られます。
ちなみに、記事後半にある日立の取り組みでは、「CO2排出1トンあたりの金額を5000円と設定」とあります。
調べてみると、別の記事「排出量取引価格、欧州で最高値 14年ぶり更新」で、先物価格で1トン31ユーロ台まで上がったとあります。1ユーロ126円で換算すると4,000円ぐらいです。
いずれにせよ、CO2排出量のように金額でない「非財務」情報であった指標が、このような形で金額の「財務」情報に換算される動きは今後も続くと思われます。別の記事に書いた「インパクト会計」はそういうプロジェクトです。