企業経営の中長期的な課題の一つに、「経営人材」の育成(development of business leaders)があります。
経営人材には対人能力としてのリーダーシップが必要なだけでなく、「経営視点」も不可欠です。
ところで、よく「経営者の目線まで視座を上げる」「俯瞰的な視点を持つ」と言われますが、「経営視点」は具体的に何を指すのでしょうか?
弊社では次の3つの要素で捉えています。
1) 経営や環境を含めた全体のしくみを広く捉える視点・思考〔全体観〕
2) 短期の業績だけでなく長期的・持続可能性の考慮〔長期的な視点〕
3) 主体性、組織や社会に対する責任感〔当事者意識〕
1) 経営や環境を含めた全体のしくみを広く捉える視点・思考〔全体観〕
最も「視点」らしいものです。大組織で仕事をしていると、所属部門(機能部門)の視点に偏ってしまいがちです。まずは事業単位でひとまとまりの活動(システム)として捉える視点・思考を持つことが必要です。
そのために、企業活動全体を捉えるためのフレームワークを知っておくことが効果的です。「財務諸表」はそのための基本ツールです。
もっとも、「全体」を捉えるときに「自社」の枠内だけを見ればよいわけではありません。顧客や取引先(販売先、供給元)、競合他社、社会、自然環境も視野に入れておくべきです。つまり、企業活動に影響する経営環境全体まで視野を広げるのが望ましいわけです。
2) 短期の業績だけでなく長期的・持続可能性の考慮〔長期的な視点〕
組織の一員として仕事をしていると、半期や年度ぐらいまでの目標・予算達成を繰り返すことが多いはずです。自分のキャリアを除けば、10年から数十年単位の将来を考える機会は少ないのではないでしょうか?
しかし経営活動には長期的な視点が必要です。短期的な業績にフォーカスし過ぎると、中長期の持続性が犠牲になったり、社会との共存が困難になることがあります。
とりわけ、昨今では組織と社会の持続可能性が問題になります。数年後だけでなく、もっと長い将来まで考慮する視点・思考が求められています。
3) 主体性、組織や社会に対する責任感〔当事者意識〕
ほとんどの人は、自分の担当している業務については「当事者意識」を持っているはずです。「経営視点」として必要なのは、経営主体全体、つまり事業部や会社全体、あるいは企業グループ全体についての当事者意識です。組織の行く末についての責任感を伴うものです。
意思決定において最終的な責任者として、その結果から逃げられない立場に立つことを意味します。そのため、多くの組織ではトップ以外は、会社全体についての当事者意識を持ちにくいものです。しかし、トップのつもりで、想像力を働かせて意思決定をする訓練が必要です。外的要因で業績が悪化したときも主体的に立ち向かう姿勢が求められます。
さらに、経営活動が社会の一員として行われるものである以上、その社会(~地球全体)に対する責任を伴うことも忘れてはいけません。
以上が、「経営視点」を構成する3つの要素です。
「視点」というと単に「あり」か「なし」かのようですが、「経営視点」にも他の能力と同じように「レベル(範囲)」があります。段階的にレベルを高めていく育成施策が望ましいと言えます。
弊社では、1)の〔全体観〕の基礎となる「財務諸表」を学習するプログラムを提供しています。また、経営を擬似体験するプログラムは、〔全体観〕に加え、3)〔当事者意識〕の養成に効果的です。一部のプログラムでは中期レベルの2)〔長期的視点〕も学べます。
ぜひ、貴社の経営人材育成にご検討ください。
●主要研修プログラム一覧
管理会計研修 (基礎)
管理会計研修 (応用)
●研修用ツール
紙を折って作る机上用名札(フリーダウンロードファイル)
紙を折って作る机上用名札のための差し込み印刷用 Excel(フリーダウンロードファイル)