Post date: 2015/09/10 5:55:18
続けて、東芝の不正会計問題に関連した話題です。
バッシングする意図はありません。
いろいろと考えさせられ、学ぶべきことが多い事件だと思います。
今回は会計的な観点から。
過去に提出された「不適切な」有価証券報告書を訂正版と比較してみました。
当期純利益(非支配持分控除前)の差異の累計は、約2,100億円に上っています。
ところが、フリーキャッシュ・フローで見ると、23億円の差異しかありません。
※フリーキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計
グラフで見ると歴然です。
フリーキャッシュ・フローの差異は小さすぎてグラフでは目立ちません(2012, 2013年度はゼロ)。
ちなみに、キャッシュの残高に訂正はありませんでした!
改めて、〈利益〉は操作できても〈キャッシュ〉は操作しにくい、ことが確認できました。
注記:
グラフタイトルに記したように、当期純利益、フリーキャッシュ・フローの差異の累計額は、増加差異と減少差異があった場合に相殺しています。つまり、5年間を通算したときの訂正前と訂正後の差異です。
2013年度には、営業CFと投資CFの訂正差異が同額(約25億円)ずつあります。合算したフリーキャッシュ・フローでは相殺されて差異がなくなっています。